ただ愛されたいだけなのに

 今週はカーテンをクリーム色にした。ベッドカバーをオフホワイト色にして、テーブルはピンク、チェアは水色、ソファは真っ赤——白のドレッサーは汚れ一つない。

「もしもーし」ずっと遠くに住む正紀とは、スマホ一つで繋がっている。「帰り遅くなっちゃった」

「今かけてくるなよ!」正紀の小さな怒鳴り声が返ってきた。「親父が側に居るんだよ」

「あの——……ごめん」

「ごめん、メールするから」


 ボーッと画面を見つめていると、メッセージが届いた。


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