ただ愛されたいだけなのに


 正紀が深呼吸をした。
「あの、さ……俺、夢のことが、好きだから……その」
「わたしも、正紀のことが好き」
 わたしは涙で顔面中を濡らしながら、手紙にむかってほほ笑んだ。「メリークリスマス」

「あ、ああ。メリークリスマス」
 正紀はコホン、と咳払いをした。
「あの、ほんとは別れたくない……んだよ。俺は。その……夢が許してくれるなら——」

「許す」わたしは即答した。「かわいいブレスレットは貰えたし、なにより《GODIVA》のチョコまで貰ったんだもん。許さないわけにはいかないよね!」

「ハハハ。ほんとはブレスレットだけの予定だったんだ。だけど……やっぱりプレゼントは贈らない方がいいのかと思って、グダグダしてたらどんどん日にちが過ぎてって……ついでにチョコも買って速達で出したんだ」

「それでよし」
 わたしはチョコを頬張った。甘くて口の中でとろけるトリュフ。わたしの心もとろけそう。
 ハッピーハッピー、クリスマス。サンキュー、ミスターサンタ♡


 
< 69 / 167 >

この作品をシェア

pagetop