この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ルーカスとティーナはアルヴォネン王国を、私はキルシュライト王国を、それぞれ支えていかなければいけないから。

 でも、わざわざ私のことを助けに来てくれたのは知っている。その気持ちは嬉しい。……嬉しいけど、もうちょっと何とかならなかったのか、なんて思う。

 特にルーカスは情に厚いタイプだから心配だ……。優秀なきっと誰かが止めてくれるはず。

 ほら、一応私のお父様とかいるし。
 でも結局は、ルーカスがアルヴォネンの国王になって、政治をしてみないと分からないんだけど。

 ルーカスは私のような能力の危険性も充分に理解しているし、おじ様みたいな圧政はしないだろう。

 きっと文官や武官に対して猜疑心を持つことなく、ルーカスの下に付く彼らも、しっかり意見が言えるような、元のアルヴォネンに戻ればいいな。


「……うん。応援してる」


 私に出来ることは彼らを応援する事だけ。その事に一抹の寂しさを感じながら、私は微笑んだ。

「ありがとう」とルーカスは穏やかな表情で礼を言う。そして、ローデリヒさんの腕に抱かれているアーベルに視線を移した。
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