この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

丸薬作成。(他)

「体を悪くしたかもしれない」


 王城の広い医務室で、ローデリヒは深刻な顔つきで申告した。ちなみに宮廷医長は別にいる。慣れ親しんだジギスムントにわざわざ診てもらっているだけで。
 いつも国王以外には穏やかな表情を浮かべているジギスムントも、険しい表情になった。


「最近寝不足だと仰ってましたからな。やはり睡眠はきちんとなければなりませぬぞ」

「……分かっている」

「いくら若いとはいえ、無理したら早死しますぞ」


 ローデリヒに小言を言いながら、ジギスムントは「そしてどこが悪いんですかな?」と問い掛けた。


「胸だ。……おそらく、心臓が悪いのだと思う」

「とりあえず調べてみましょう」


 聴診器を胸に当てたジギスムントは難しい顔をする。音の異常は特にはない。


「どの様な状況でなりましたか?」

「……昨夜、アリサに抱き着かれたのだ。その時に軽い心臓発作を起こしたようで」

「………………はい?」
< 443 / 654 >

この作品をシェア

pagetop