この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「自分のものだ。普通に仕立て屋を呼んで作らせたものだが……」

「うー……ん。……そうですね。……では、10万でどうです?」


 買い叩かれているのは、すぐに分かった。
 数の多いボタンは全て銀。銀の相場を知っているローデリヒが簡単に数えても、銀ボタンだけでその位の額は簡単に超える。


「分かった。それで換金してくれ」


 価格交渉をしている暇などなかった。
 ローデリヒはすぐにでも宿に戻りたかったし、すぐに現金が必要だった。

 そう――アリサもローデリヒも、普段お金を持たないのが当たり前だったので、2人して一銭も持っていなかったのである。

 目的を果たしたローデリヒは、転移で帰路をショートカットした。













「あっ、ちょ、やめ……っ、そこダメぇ……!」
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