ど天然彼氏の可愛がり方。－六花の恋・外伝－【完】

電車が来て、美結をかばうような位置に立つ。

美結はいつも居心地が悪そうだけど、他の男近づけたくないから我慢して。

電車の中で美結はいつも、黙って外の方を向いている。

つまり僕は美結を見放題なわけだけど、その結果僕の頭の中は一言で埋め尽くされる。

可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛（∞

……バカの一つ覚えだ。

と言うか僕はもともと、美結に対してはバカでしかないという自覚ならある。

美結をこんな風に可愛い可愛いと思うようになったのは、やっぱり美結を好きだと自覚してからなんだけど、必死に心の声を隠している。

さすがに引かれると思うほど、僕の頭はその言葉で埋め尽くされがちだから。

……僕は、一生結婚出来ない気がする。

だって美結以外どうでもいいし。美結とこのままでいられたらそれで充分だし。

これ以上を望むつもりはない。

……今いる位置を失うくらいなら。