「ねぇ、シェアしない?」


えっ、一体なにを言ってるの?


「これ、ぜーーーんぶ、優子がやったんだから」


『これ』と言って指差したのは、達実の亡骸。


体中に返り血を浴びているのに、それを私に押しつけるっていうの?


そんな馬鹿なこと__?


「それ、なかなか骨が邪魔で切れなかったんだよね」


舞香がそう言った瞬間、握りしている包丁を放り投げようとしたのに__手に張り付いて離れない。


急速に手が冷えていって、まるで血が接着剤になったように、離れないんだ。


「指紋もつけたし、あのストーカーも優子がバラバラにして埋めたことになってるから」


「なんで、そんなこと__?」


でも、公園に死体はなかった。


それは舞香が掘り起こしたから?そんなこと、舞香ひとりの力じゃ無理なのに?


「私のパパ、警察関係にも知り合いがたくさんいるから。だから、なんとでもなるの。優子を犯人に仕立て上げることくらい、朝飯前なんだ」


「うそっ」


思わず呟きが漏れた。


絶望の、呟きが。


そして私は悟ったんだ。


私がこの屋敷に泊まり込んだ時、舞香の父親が部屋に忍び込んできた。


でもそれは、襲いかかってきたんじゃない。


舞香のほうからじゃないか?


全てを思い通りに動かすため、父親すら操っている__。


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