たとえ叶わない恋でも。




「行ってきまーす!」

「瑞稀(みずき)、行ってらっしゃい」


お母さんの声を背に家を出た。


「よっ瑞稀!」

家を出ると、隣に住む小学校からの友達……幼馴染の智希(ともき)が右手を上げながら私に声をかけた。



「あっ!おはよう智希!」

「おはよ、てか急がねぇと遅刻すんぞ」


冷静に話すもんだから、ついつい聞き流してしまいそうになるけど、


「ねぇっ!遅刻ってなんでもっと早く言ってくれないのっ!?」



これは絶対に聞き逃してはいけない言葉なのだ。




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