美男子の部屋に保護されました
初デートは…
その日、出勤すると、優美がまた寄ってきた。

「まだ付き合ってないんなら、あの人は
やめた方がいいわ。
私が、もっと由里子に相応しい人を紹介して
あげるから。」

もっと相応しい人って何?
どんな人なら私に相応しいって言うの?

思ってはいても、私は、それを本人には言えない。

だから、私は違う答えを返した。

「あのね、私、昨日、あの後、お返事を
したの。
私、宮原さんとお付き合いすることに
した。」

その途端、優美の表情が変わった。

「そうなんだ。
宮原さんが本気で由里子の事を好きだと
思ってるの?
常識的に考えなさいよ。
あの見た目だよ?
他に彼女がいるに決まってるでしょ。」

優美の意見は、私の心の底を大きく抉ってくる。

でも、私は宮原さんを信じると決めた。

「優美の言いたい事は分かるよ。
私だって、最初は宮原さんみたいな人が
私なんかを本気で相手にするはずがない
って思ってた。
でも、宮原さんは私しかいないって言って
くれたの。
だから、私は彼のその言葉を信じる。」

私はそれだけ伝えると、優美の返事を待たず、返却処理を終えた本をブックトラックに乗せ、1人、カウンターの外に出た。

棚に本を片付けながら、つい余計な事を考えてしまう。

『他に彼女がいるに決まってるでしょ』

考えまいとしても、優美の言葉が頭の中をぐるぐると回る。
< 35 / 91 >

この作品をシェア

pagetop