秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
「なぁ今も、おんなじとこ住んでんの?」

「そうだよ。おじいちゃんもおばあちゃんも亡くなったから今はひとりでね。」

思わず答えてしまった。

木谷くんがにんまり笑った。

しまった。つい…。

「こんど飲みにいかねぇ?」

はぁ?何言ってんの?この人。

「行かないわよ。」

「なんなら今からでも?」

思わず、まともに木谷くんの顔を見た。

高校のときもイケメンだったけど、今もあいかわらずイケメンで。見た目はさわやかだし…誰もこんな悪魔みたいな性格だとは思わないだろうけど…

「冗談じゃない。わたしには今は…」

思わず、わたしが作る晩ごはんを待ってる人がいるっていいかけてやめた。

「何?まさかそんな地味子でオトコいんの?」

「ちがうよ。犬がね。待ってるから。帰る。」

「はぁ?犬?」

わたしがちょっと小走りに駅の改札に入ると、歩をとめた木谷くんは叫んでいた。

よかった。もう着いてこない。

もう話しかけないでほしい。

お願いだからかかわらないで…。

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