秘密の同居生活～オレ様副社長の罠にはめられました～

「あ、副社長。コーヒーいれます？」

「ちがうだろ？」

「え？」

何が？といわんばかりにキョトンとしている夏菜を思わず、いじめてやりたくなる。

「さっきみたいに呼べよ。」

「…え？……」

しばらくなんのことかわからなかったようで引き続きキョトンとしていたが、突然口を押さえると真っ赤になった。

「いや、あの…あれは…咄嗟に…」

「遠い親戚のお兄ちゃん？って誰が？」

夏菜がしどろもどろになってるのを見るとますますいじめたくなった。

「ごめんなさい。だって…あの場じゃ嘘つくしかなくて…」

ますます真っ赤になる夏菜がかわいい。

「まあ、それはわかる。だからなおさら、俺のことはこれからそう呼ぶべきだ。」

「えっ？！……って…！ムリです！そんな呼び方！」

「さっきはふつうに言ってたぞ。ダメ。呼ばなかったら、副社長権限で経理課クビにして副社長秘書にするぞ。」

「えっ？！それはダメです！わたしなんかが秘書とか！できませんからっ！」

あまりに全力で拒否するのでちょっと傷つきつつ、それでもめげずに俺は言う。

「会社以外ではあの呼び方な。それしか俺、返事しないから。」