秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~


想像通りというか…
ビルの借主に案内文を送ると、その日から電話の嵐となった。

わたしは昼間は仕事中で対応できないため、どうしても業務終了後に電話する羽目になる。

『地価の上昇でどうしても避けられないことなんです。』

『そんな。これ以上あげられたらうちは立ち行かなくなるよ。』

うっ…。
そういわれるとつい…
っていうのは禁物なんだよね…。
ここは心を鬼に…。

『それでしたら、ほかを当たっていただくしかないかと…。3カ月後ですから、十分猶予期間があると思います。』

『しかも1年後にもだろ?ほんっとに。オーナーだからって何やってもいいと思ってんの?女のくせにさ。』

うっ…来た。女のくせに…。
けど、負けない。

『どうしても納得いただけない場合は、説明に伺わせていただきますが…』

『説明?いいよ。もう。わかったから。って言っても、この立地条件だから、ほかにかわるつもりはないよ。仕方ないのはわかってんだよね。』


だいたいは、こんな感じで、最後には折れてくれる。

けれど、やっぱりどうしてもごねまくる借主もいて、何度も電話してくるのでいやになる。
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