不思議なパン屋さん
真夜中に灯りのついた家が一軒あります。

リリーン

ドアの向こうにはとっても美味しそうなパンが並んでいるよ


どのパンも焼きたてホカホカ

白いエプロンをした店員さんがせかせか

できたてのパンを運んでる

行ったり来たりしてとっても忙しそう


リリーン

最初のお客さんが来たよ

ストライプパジャマの男の子が

「こんばんは」

しばらくするとコック帽をかぶった職人のおじさんがやって来た

「いらっしゃい」

赤いスカーフを巻いて胸に金色のブローチが輝いている

「パンをください」

「はい、今日のパンだよ」

「ありがとう」

男の子は外に出ると一面に広がる草原をしばらく歩き、所々にある岩に腰掛けパンの袋をあけた

パンはまだあつあつで

手でふたつにわるともくもくと湯気がたちのぼった

湯気のなかに飛行機が見える

楽しそうに男の子が飛行機に乗っている

くるくるとまわったりしながら大空を飛んでいる

湯気がだんだん少なくなる頃

男の子はパンを食べ終わり

自分のお家へ帰って行く

あちらの椅子に腰掛けたネグリジェ姿のご婦人は

ゆっくりパンをふたつにわった

ご婦人の頭の上にもくもく湯気がたちのぼる

湯気のなかにお花がたくさん見える

どうやらお花にお水をかけてあげている

赤いお花、黄色いお花、青いお花、ピンクのお花

水のシャワーがキラキラしている

なかに虹も見える

ご婦人が紅茶を飲みながらゆっくりパンを食べている

食べ終わるとご婦人もお家へ帰って行った

ここは夢をみるパン屋さん

それぞれの夢を見るため毎晩パン屋さんにいく

パンを食べると夢のなかが湯気に現れる

食べ終わりお家へ帰る頃には

さっき湯気に現れた夢の中

みんな夢を見た夜にパン屋さんに行っている

不思議なパン屋さん

今日も真夜中に灯りがついてるよ






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