桝田くんは痛みを知らない
「お揃いっていえばね。うちのクラスのお化け屋敷。参加賞がお揃いのバッジなの。よくない?」

「……お揃い? お化け屋敷で?」

「男女ペアでしか入れなくて。ゴールしたらプレゼントするんだよ」

「しょうもな」

「えっ、」

「そんなの誰が来んの」

「きっと人気出るよ! そのあと結ばれるカップルとか出たら最高だよね!!」

「どうせクッソだせぇバッジなんだろ」

「そんなことないよ。シンプルで、男の子もつけやすいデザインにする予定」


 それに、どんなデザインでも、好きな人とペアならわたしは嬉しいけどなあ?


「手作り?」

「もちろん! ひとつひとつ、想いをこめて!」

「……だる」

「いっしょに入ろうね?」

「は? なんで俺が」

「夏の遊園地。桝田くんも、学園祭でなら体感できるじゃん!」

「……調子のいいこと言いやがって」


 そういってへの字に口を曲げる桝田くんが、まんざらでもなさそうな顔をしていて

お化け屋敷、入りたいなって思わずにはいられなかったんだ。
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