桝田くんは痛みを知らない
 桝田くんと、同じ段。

 だけど桝田くんから離れたところに、腰をおろしたら。


「そんな離れんなよ」


 って言われたので、少し近づいた。


「ここ、お気に入りスポット?」

「わりと」

「授業サボって来ちゃうことあったりして」

「余裕で」

「ヨユウ、の意味がわからないよ」


 焦る必要は、ない。


 だけど昼休みは、残りわずかで。

 話を進めたほうがいいと思う。


 でも。

 なにを話せばいいやら。


「へへ」

「……なんだよ」

「わたしが来ちゃって、よかったのかなって」


 桝田くんのお気に入りスポットに。

 招待してもらえた。


 それが、なんだか嬉しい。

 なんとなく、他にも穴場を知っていそうな気がする。


「オマエだから呼んだんだろ」

「……っ」

「って。こういうのは、重いよな」
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