芦名くんの隠しごと



でも、言われてみれば、藍ちゃんと一緒に勉強したとき、ものすごくわかりやすく教えてくれた。


なるほど、南高校。納得。それにたしか、私服校だったよね。


「課題忘れたんだと。それで補習なんて、運悪いよな。アイツだって馬鹿じゃないのに」


“ま、少しアイツらしい気もするけどな”なんて、藍ちゃんが聞いたら文句を言いそうなことを軽く付け足して、夏樹くんは笑っていた。


「藍ちゃん、早く来ないかなあ」


「なにかあったのか?」


「さっきまで、孝也さんとシャーベット作ってたの。藍ちゃんにも食べてもらいたくて。あ、夏樹くんも食べる?」


「………康生は食べたのか?」


「ううん、あげられなかった。芦名くん、すぐに出かけちゃったから」


本当は芦名くんにも食べてもらいたかったけど、なんだか忙しいみたいだ。


もっと彼と一緒にいたいけど、彼女でもない私がワガママを言って、彼を困らせたらいけない。


< 122 / 279 >

この作品をシェア

pagetop