夕暮れのこの場所から君と始める
それからたくさんの話をした。
黄昏が蒼黒に変わるまで。


私の趣味は家庭菜園ってこととか。
そしたら男の子は笑って、“今度食わせてくれ”って言ってくれて。


相手の趣味は読書。内容が理解できなくても、何度も読んで、理解できた時がものすごく嬉しいと熱く語ってくれた。


学校の穴場スポットとかおいしい学食とか。
困った時は誰を頼ればいいとか。でも一番嬉しかったのはーー。


「一番はおれを頼ればいい。一緒に悩んで、一緒に笑うから。今日一緒に見た海をずっと忘れないだろうな、こういう時の光景って永遠に忘れないものなんだと思う」

「うん……。まだすぐには無理かもしれないけど、少しずつがんばってみるね」

「ああ、そろそろ帰るか。送ってくよ」

「え!?悪いよ……そんな……」

「悪いわけないだろー。じゃなきゃ今ここにいないだろー?」



二人並んでどちらともなく歩き始める。

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