海賊と宝石の歌姫
船員たちの間から、グレンが姿を見せる。村人たちは怯え、セダは剣を強く握った。

「どこにいようが俺の勝手だ。……悪いが今はお前の相手をしている暇がない」

「それはあのお姫様を探しているからか?」

グレンがニヤリと笑って言うと、船員二人が黒い髪の小柄な少女を連れて来る。その少女を見て、セダたちは声を上げた。

「カヤ!!」

口に布を噛まされ、縛られたカヤが捕らえられていた。逃れようにも男の力には敵わないようだ。

「カヤを放せ!!」

セダがそう言うと、「できるわけないだろう」とグレンは剣を抜く。

「あいつはもう俺のものだ。ネックレスも奪ったから力は使えねえ。あいつはただの非力なお姫様だよ」

グレンの言葉にセダがよくカヤの胸元を見ると、いつもあるネックレスがない。グレンがコートのポケットからネックレスを取り出し、道端に捨てた。

「さあ、戦おうぜ?」

グレンはセダを見つめ、舌舐めずりをした。
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