海賊と宝石の歌姫
黄色い刺繍が施された青いコートを着たセダは、甲板からコートと同じ青い海を見つめる。見えている景色はいつも同じだが、セダはこの景色を気に入っている。

「セダ、次はどの国を目指すんだ?」

海を眺め続けるセダに、副船長のアイザック・ノートンが声をかける。アイザックはとても頭がよく、どんな時も冷静だ。

「そうだな……。最近は悪い海賊もそんなにいないしな……」

セダは頭に手を当て、考える。海賊アレスは海賊の間でも有名で悪い噂も最近は少ない。そうセダは思っていた。

「いや、でもそうでもないみたい……」

新聞を手に、金髪のショートカットの女性が二人に話しかける。彼女はライリー・ヴァルガス、海賊アレスの船員で剣を持ち戦ったりもする勇ましい女性だ。

「東洋の島国・ハナダのある村が海賊フェニックスに襲われたらしいわ。何人もの人が売り飛ばされたみたい」

「ハナダって海賊が狙うようなお宝があるの?」
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