海賊と宝石の歌姫
カヤは悲しげにそう言う。セダは「きちんと村まで送ろう。それに、俺はお前の力のことは誰にも言わない」と力強く笑った。

「ありがとうございます、船長様」

カヤが深く頭を下げる。セダは苦笑しながら言った。

「呼び方なんだが……」

カヤがゆっくりと顔を上げる。セダは真っ赤な顔で言った。

「俺のことは名前で呼べ。前にも言っただろ?」

カヤは少し考えた後、「……セダ様」と言った。名前を呼ばれたのは嬉しいが、これでは距離があるように感じてしまう。

「ライリーたちを呼ぶみたいに言え」

セダがそう言うと、カヤは恥ずかしそうに顔を赤くしながら、「セダさん」と呟いた。

セダの体を、電流が流れるような感覚が走る。胸がドキドキして、カヤを抱きしめたくなる。

「ん、それでいい。……あと」

セダはカヤの耳元でささやいた。

「好きだ、愛してる」

カヤの体がびくりと震える。カヤは困っている様子だ。

「返事はいい。でも、俺は本気だ。いつかお前を振り向かせる」

カヤが部屋に戻った後、セダは高鳴る胸を押さえる。もう本を読んでいる余裕はない。

「……カヤ……」

セダはベッドの上に横になり、熱い顔を覆った。
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