海賊と宝石の歌姫
愛しい人の故郷
デートから帰った後、セダはカヤと話すことなく船長室へと戻った。もう何もする気が起きず、ただベッドに横になる。

「セダ、帰って来たのか？」

ベッドに横になってしばらくすると、船長室にアイザックが入って来た。セダは体を起こす。

「……ああ」

「何かあったのか？」

セダは暗い顔のまま、椅子に腰掛けるアイザックにデートのことを話した。アイザックの顔は終始変わることはない。

「そばにいてほしいんだ」

「セダ、カヤが家に帰ることを望んだんだ。……もう何も言うな」

アイザックはそう言い、船長室を出て行く。セダはこみ上げてくる感情を押さえようと、両手で顔を覆った。



その日は食事をとる気になれず、セダはモヤモヤする気持ちのままベッドの上にいた。

寝る前に海でも見ようとセダは立ち上がる。廊下を歩いていると、船員たちから「船長、大丈夫ですか？」と声をかけられた。

甲板へとセダは足を進める。その時、聞いたことのある歌声が耳に入ってきた。
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