海賊と宝石の歌姫
「……いよいよだな」

アイザックが暗い顔をしているセダに声をかける。セダは悲しみを感じながらも、船を降りる支度を始めた。

「カヤともうお別れなのか〜……」

ゴドフリーも、寂しそうな顔をしながら支度をする。アイザックは表情を変えることはなかった。

「ここがカヤの故郷なのね」

「はい!でも、私の村はもっと山奥にあります」

故郷に帰って来られた嬉しさから一番の笑顔を見せるカヤに、ライリーは寂しそうな笑顔で言う。この笑顔を見れなくなる悲しみを、セダはグッと堪えた。

ハナダはセダたちの故郷とは全く風景が違う。着ている服もセダたちとは全く違っていた。しかし、ここは港街だからか物珍しそうな目で見られることはない。

「さて、カヤを村へと送って行こう」

アイザックを先頭に、セダたちは山の中へと入って行く。カヤはとても懐かしそうに辺りを見渡していた。

「見たことがない植物が多いな」

ゴドフリーが辺りを見回して言う。カヤは「あの植物はウスズミですね。薬草としてハナダでは使われています」と説明した。
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