緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
ちょっと。
なにこの状況。

呼吸がまともにできるようになったのは、彼が薬を飲みこんでからしばらくしてからのことだった。

「はい、飲み込んだ。
これで満足?」

「明日もちゃんと飲んでくださいね」

「あんたが飲ませてくれるんでしょ?」

「自分で飲んでください!」

「じゃあキスしにきて」

「今のは医療行為です」

「最初の10秒はね。
それからは違ったでしょ?」

転んでもただでは起きないというのが彼だ。
でも私だって、だいぶ彼のことをわかってきている。

「私が、自らの意思で行ったことですから。
これがキスだというなら、あの時の仕返しです。
いつだってあなたが優位な立場だなんて思わないでください」

「へぇ」

きっとこれでいい。
いや、私の心情的には何もよくないけど!

見なくても、声だけでわかる。
絶対ニヤついてる。
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