緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー

部屋を出ると、廊下を音もなく歩く紳士な後ろ姿が見えた。

「あ!
神谷さん!私のこと騙しましたね!」

無駄のない動作で振り返ると、いつもの笑顔が携えてある。

「莉子様でしたか。
いかがなさいました?」

しらばっくれる気ですか!

「楓馬君がもうすぐ死ぬって言いましたよね?
なんでそんなひどい嘘ついたんですか!」

「そんなこと申しておりませんよ。
来年には…、の先をお話ししましょう。

楓馬様は、来年にはもう私のもとを離れると仰っています。独り立ちすると。
今の状態の楓馬さんが独り立ちなど、なんとも迷惑な話です。初めて聞いたときは耳を疑いましたよ。
嘘か冗談にしていただきたい。

私を安心させて独り立ちを許してもらおうと振る舞っているようですが、どうにも心配になってきます」

いや…。
全ては、私の早とちりだったと?
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