緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「だろうね。
見えなくても、存在してるんだ?」

なぁ。
それって、人にも当てはまるのかな。

見えなくても存在するものが、人の中にもあったりする?
例えば、俺の中にも。

「だから私は見続けたいんです。

そしたら…。
ほら、晴れてきましたよ」

「あ、ほんとだ」

雲の隙間から星たちの小さな光が揺れていた。
果たしてこれが綺麗なのかどうなのか、俺にはちょっとよくわからない。

だけど、こういう時間も悪くない。

「こうして見えてる星たちも、宇宙の中ではほんの一部なんですよね。
目に見えてないだけで、あの強い光の星たちの奥にもたくさんの星があるって思うと、世界が広がると思いませんか?」

俺を見据えたその瞳に、心を見透かされたような気分になった。
なのに、不快じゃない。
むしろ、もっと映していてほしいとさえ思う。
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