私の中におっさん(魔王)がいる。~風間の章~

 * * *


 今何時だろう?
 宿に戻ってからすぐに寝台に横になったけど、まっったく寝れる気配がない! 普段の私だったら、布団に入って三秒で寝れるのに!

「!」

 びくっと身体をが小さく跳ねる。となりで、もぞっと動くシーツの音にいちいち反応して、全然眠れない。
 そりゃ、そうだよ!
 男の人と、しかも風間さんと並んで寝て寝れるわけないじゃんっ!
 すやすやと寝息を立てる風間さんを睨んでやりたい。けど、振向くこともできない。そんなことしたら、心臓がとまっちゃうよ!

「はあ……」

 私は小さくため息をついた。
(なんか、バカみたい。意識してるの私だけじゃん)
 目を瞑った。もう寝る。絶対寝る。
 寝てやるんだからぁあぁ!


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