御坂くん、溺愛しないで。



「だから無理して理玖の本音聞き出そうとか、バスケに触れようとか思わなくていいの。

その時の流れに合わせればいいから」


「うーん…そうだけど」


ふたりの話を聞いてから、自分の中で焦りだけが増していくのだ。

だって私だったら耐えられない。


今も御坂くんはひとりで抱えているのだと思うと、せめて話だけでも聞いて楽になってほしいと思う。



ただ無理に聞けば余計に苦しめてしまうだけだから、こうして悩むことしかできないのである。


「せめて御坂くんと時間が増えれば、なぁ…」

朝の時間だけではまったくと言っていいほど足りない。


御坂くんとの距離は一週間前と変わらないままである。


「へぇ、咲が男のためにそこまで思うってすごい成長したね」

「今はそれどころじゃないよ……でも、これも全部御坂くんのおかげだから。だからこそ私も御坂くんに何かしてあげられないかなって…」


とはいえ何も思いつかないのだけれど。

< 176 / 345 >

この作品をシェア

pagetop