御坂くん、溺愛しないで。
「だから無理して理玖の本音聞き出そうとか、バスケに触れようとか思わなくていいの。
その時の流れに合わせればいいから」
「うーん…そうだけど」
ふたりの話を聞いてから、自分の中で焦りだけが増していくのだ。
だって私だったら耐えられない。
今も御坂くんはひとりで抱えているのだと思うと、せめて話だけでも聞いて楽になってほしいと思う。
ただ無理に聞けば余計に苦しめてしまうだけだから、こうして悩むことしかできないのである。
「せめて御坂くんと時間が増えれば、なぁ…」
朝の時間だけではまったくと言っていいほど足りない。
御坂くんとの距離は一週間前と変わらないままである。
「へぇ、咲が男のためにそこまで思うってすごい成長したね」
「今はそれどころじゃないよ……でも、これも全部御坂くんのおかげだから。だからこそ私も御坂くんに何かしてあげられないかなって…」
とはいえ何も思いつかないのだけれど。