御坂くん、溺愛しないで。
*
一試合目が終わると、次に二試合目のウォーミングアップが行われる。
そのタイミングで私と琴葉は二階のギャラリーへと向かった。
「気合い入ってんね、理玖も真司も」
琴葉は嬉しそうに笑う。
性別が違えど共通の部活だ。
筧くんと同様、御坂くんや真司くんのことを心配していたのだろう。
「……うん、そうだね」
「なんかふたりとも活き活きしてる。
これ、試合が楽しみだね」
「御坂くん、頑張ってほしいな」
「もー、咲は理玖しか頭にないね」
間違いなく琴葉の言う通り、私の頭は御坂くんでいっぱいである。
『俺でいっぱいになって』と言われたけれど、言われるまでもなくすでに御坂くんで頭がいっぱいだ。