御坂くん、溺愛しないで。







一試合目が終わると、次に二試合目のウォーミングアップが行われる。

そのタイミングで私と琴葉は二階のギャラリーへと向かった。



「気合い入ってんね、理玖も真司も」


琴葉は嬉しそうに笑う。
性別が違えど共通の部活だ。

筧くんと同様、御坂くんや真司くんのことを心配していたのだろう。


「……うん、そうだね」

「なんかふたりとも活き活きしてる。
これ、試合が楽しみだね」

「御坂くん、頑張ってほしいな」
「もー、咲は理玖しか頭にないね」


間違いなく琴葉の言う通り、私の頭は御坂くんでいっぱいである。

『俺でいっぱいになって』と言われたけれど、言われるまでもなくすでに御坂くんで頭がいっぱいだ。

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