御坂くん、溺愛しないで。
「その状態でもきついなら、壁のほうに向いてもらって大丈夫です。先輩も背中向けてください」
「う、うん…」
御坂くんは私から背中を向け、あまり刺激しないようにしてくれている。
本当に気遣ってくれて優しいなという気持ちと、申し訳ない気持ちが私の中で交差した。
そのため、このまま背中を向けるべきだろうかと悩んでしまう。
御坂くんはここまでしてくれているのだ、少しぐらい私も頑張らないと。
ゆっくり御坂くんの鞄を掴む手を離す。
そして今度は彼の背中部分のシャツをそっと掴んだ。
「……っ」
ピクッと御坂くんが反応したため、咄嗟に離そうとしたけれど。
ここは我慢だと思い、今度は指先の震えを抑えるようにしてぎゅっと力を込めて握った。