御坂くん、溺愛しないで。
一歩前進



次の日。

アラームの音で目が覚めたけれど、いつもより体が重い気がするのは気のせいではないだろう。


「はぁ」

ゆっくりと重い体を起こし、ベッドからおりる。
そしてすぐに昨日のことが思い出された。


突然御坂くんとふたりで会うことになり、頭を触れられただけで気絶した私。

さらに帰り道でも泣いて逃げ出したり、怯えたりして本気で反省しなければならないことを何回もしてしまった。


けれど今日は御坂くんと会うことがないだろうと思い、安心した面持ちで準備を済ませ外へ出る。

すると珍しく私より先に琴葉が玄関先で待っていた。


「あっ、咲。おはよ…」
「琴葉!」

琴葉は私を見るなりいつもの調子で挨拶してきたけれど、それどころではない。

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