恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
『もしもし』
聞こえてきたのは、眠そうな武弘の声。

「あいつがいない。いなくなった」
自分でも声が震えているのが分かる。

『お前に黙ってか?』
「ああ、何も。電話しても・・・でないんだ」
俺は、あいつに、シャットアウトされたのか・・・

昨日まで、いつもと変わりなかったんだ。
何かあったんなら、昨日の夕方以降。
もしかして、秘書たちにまたいじめられたのか?
それとも武弘に、

「武弘、お前何か言ったのか?」
『いや・・・』
なんだか、歯切れが悪い。
「はっきり言え」

もし、武弘が原因でいなくなったんなら、俺は絶対に許さない。
あいつは人一倍、人と人とのしがらみに弱いんだ。
あいつが、もし、本当にいなくなったら・・・今度は俺が壊れてしまう。

「おい、真之介。落ち着け。今から、確認するから」
武広が病院に向かうと言い、俺も急いで向かうことにした。
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