恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~

高級マンション

現場の警察官に緊急連絡先だけ伝え、半ば強引に車に乗せられた。
怒っているボスには、どこに行くんですかと聞くことさえできなかった。


そして、連れてこられた高級マンション。

「ここは?」
「俺ん家」
はあ、やっぱり。

「でも、何で?」
「そこ、怪我してる」
ああ、気がつかなかった。

右腕の肘から下に切り傷が数カ所。
きっと、ガラスで切ったんだ。
それに、手のひらに水ぶくれもできている。

「ついて来い」
有無を言わせない迫力に、私は素直に従った。


ボスのマンションは街の中心に建つ高層マンション。
その中でも、最上階の部屋がボスのお家だった。

「手を見せて」
「はい?」
ここまで来て、今更拒めるはずもない。
私は素直に差し出した。

「馬鹿野郎」
ギュッと腕を引かれた瞬間、
「痛っ」
つい声が出た。

「無茶するからだ」
確かに、その通り。
何も言い返せません。
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