恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
自分で言うのは何だけれど、キーボードを打つ速度はかなり早い。
ブラインドタッチは当たり前だし、間違えも少ない。
それが特技。
でも、これは普通に打っての場合。
本当に急ぐとき、私には奥の手があって。

まずは副院長室に隣接する秘書室のドアを閉め、
せっかく巻いてきた髪を1つにくくる。
机の引き出しから出したパソコン用めがねを装着。
スーツのジャケットを脱ぎ、ブラウスの袖をめくる。
本当はブラウスも窮屈なんだけれど、仕方ない。
ここまでする必要があるんだろうかと自分でも時々思う。
でも、こうしないとスピードが出ない。
そして、入力中の私はもの凄い顔をしているらしい。
昔付き合った彼氏に、それで振られた経験がある。
だから、誰もいないところでしか急ぎの入力はしない。と言うか、できない。
さあ、準備はできた。
ハイスピードで仕事をしますか。

今日も、『お願いです。誰も開けないでください』と祈りながら、カタカタとパソコンを打ちだした。
ボスが帰ってくるのは2時頃のはずだから、それまでが私の時間。
なんとか、ボスと院長の原稿を打ち込んでしまわないと。
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