恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~

風邪は万病の元

ゴホゴホ。
滅多に風邪なんかひかない、元気だけが取り柄の私が風邪を引いた。

はあぁー。
朝方から、ちょっと熱っぽい。

熱を計ってみようかなと思ってみたけれど・・・やめた。
ただでさえ仕事が遅れているのに、休むわけにはいかない。
そう思うと、怖くて計れなかった。


「どうした、食欲ないのか?」
一向に箸の進まない私を、ボスが見ている。
「大丈夫です」
「本当に?」
近づいてきたボスの手が私の額に当る寸前、

「平気ですから」
避けてしまった。

体調不良がボスにバレれば、きっと休まされてしまう。
それは避けたい。

「眠たいだけですから」
「ならいいけれど」と、身支度をするボス。

ボスのマンションに居候して2ヶ月。
変わらない日常の中で、少しずつ距離が縮まっている。
鈍感な私だって、気づいている。
でも、今だけだから。
いつかは終わってしまう関係だから。
この気持ちは、そっとしまっておこう。
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