恋の駆け引き～イケメンDr.は新人秘書を手放せない～

「具合が悪いの？」
課長が心配そうに見ている。

ボスの部屋の来客用ソファーに寝かされている秘書は、どんな風に映っているんだろう。

「すみません」
他に言葉が出てこない。

「謝らなくていいよ。それで、受診は？」
「後で俺が薬を出すから」
私の側を離れようとしないボスに、課長が不思議そうな顔をする。


「とりあえず帰った方がいい。1人で帰れる？」
「ええ」
「俺が、」
ボスが言いかけたけれど、

「副院長はこの後会議がありますよね」
課長の方が早かった。

「僕が送るよ」って課長も言ってくれる。
でも、課長だって忙しい。

「本当に大丈夫です。薬も効いてきて、少し楽になりましたから」
必死に２人を説得した。

「いいか、絶対に寝とけよ。夕食の準備とかしてたら仕事を取り上げるからな」
これが何よりもの脅し。
私には一番応えるって、ボスは知っている。

結局、タクシーで１人ボスのマンションへ向かうことになった。