恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
2日ほど仕事を休み、私は元気になった。

それもすべて、ボスが処方してくれた大量の薬と、食べきれないくらいに買い込んだ食料のお陰。
休んでいる間はパソコンを取り上げられ、ボスがいるときはリビングのソファーに、それ以外は寝室で寝て過ごすことを約束させられた。

今もまた、
「ほら、まだ残ってる」
「だって・・・」
病み上がりの私はまだ食欲が戻っていないと言っているのに、お皿が空になるまでジーッと見ている。

「もう、許してください。本当にお腹いっぱいなんです」
これ以上食べたら、気分が悪くなってしまう。

「仕方ないなあ。じゃあ、薬飲んで」
差し出された薬。

ええー。
もう薬もいいんだけれど・・・

「飲みなさい」
「はぁーぃ」
渋々と、私の手に乗せられた錠剤を口に運んだ。

私が病気をしてから、ボスは優しくなって、その分過干渉気味になった。
ひょっとしたら、「異動します」「出て行きます」なんて口走ったせいかもしれない。
もちろん、勢い余って出た言葉で、私自身もそれ以降口にしてはいない。
ボスの方も何も言わない。

今のこの生活が、いつまでも続かないことは分っている。
でも、今はもう少しだけこの暖かさに包まれていたい。
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