素直になれたら
4.近づく距離
○ビジネスホテル・外観(夜)

10階建、白い壁、都会的な雰囲気のビジネスホテル。

○ビジネスホテル・中(夜)

シングルベッド、テレビ、小さなテーブルと椅子が置かれた部屋。
中に入るなり、ばったりとベッドに倒れ込む心菜。

心菜(つ、疲れた~~~!

約1時間の昼休憩を挟んだものの、その後、研修は午後7時までノンストップ。
普段の仕事ならそんな時間はザラだけど、初めての場所で研修で、7時まではなかなかハードなものだった。

日下部さん、にこにこしながら段々ハードモードになってきてたし・・・。
あんなカメラ、突然動かせないっての)

心菜、笑顔で無謀な指示をする日下部の様子を思い出す。

心菜(とはいえ、相田さんは全然平気そうだったよね。
むしろ、この後もまだまだ教えてください!っていう勢いだったけど)

心菜は、「明日もあるので。今日はこの辺で」と、右手を挙げた日下部の姿を思い出す。
日下部は、笑顔ながらもやや疲労した様子。
   
心菜(研修で『教える』っていう立場も大変だよね。
ましてや、あれだけ熱心に相田さんに質問攻めにあったらなあ・・・)

ハードモードだった日下部が、相田の熱意に尻込みになっていく様子を思い出す心菜。
はあ、とため息をつくと、心菜のスマホが鳴る。

心菜(ん?誰だろう・・・電話?)

寝転がったまま移動して、カバンの中からスマホを取り出す心菜。
画面を見ると、「相田マネージャー」の文字。

心菜「!?」

飛び起きる心菜。急いで電話に出る。

心菜「は、はい!?」

相田「井藤。おつかれ」

心菜「は、はい!お疲れ様です。えっと・・・あの・・・なにか・・・」

耳にスマホをあて、ドキドキとした様子の心菜。

相田「これから飲みに行かないか」
 
心菜「・・・は!?」

心菜(これから!?あなたと!?)

驚きのあまり、心菜は硬直する。

相田「夕飯まだだろ。ホテルの隣にいい飲み屋があるって日下部さんに教えてもらったから。明日もあるし、飲みに行かないかと思って」
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