素直になれたら
5.予想外のアクシデント
○ホテル・心菜の部屋・中(朝)

ベッドの上、寝ぼけ眼でスマホを見ている心菜。
スマホ画面は相田とのメールアプリのやりとり。
相田からの「体調どうだ」の問いかけに、「大丈夫です」と返す心菜。
メールアプリ画面。

相田『食欲は?』

心菜『わりとあります。昨日買ってきてもらった蒸しパンいただきます』

相田『わかった。じゃあ、8:45に』

心菜『はい』

メールアプリを閉じる心菜。

心菜(そうなんだ。昨日ぐっすり寝たからか、思ったよりも調子いいんだよね)

○回想

心菜、昨晩のことを思い出す。
相田が部屋を出ていった後、ちょっとずつ、ヨーグルトを口に運ぶ心菜の姿。
「おいしい」と呟いている。
熱冷ましシートを額に貼り、「気持ちいい」とベッドに横になっている心菜の姿。
心菜、目を閉じ眠りにつく。
   
○回想終わり

○ホテル・心菜の部屋・中(朝)

心菜は起き上がり、テレビをつけると、ミニテーブルにパンとコーヒーを用意する。
ぼんやりとパンをかじりながら、物思いにふけっているような顔。

心菜(相田さん・・・昨日はほんとになんだったのかな。
お母さんみたいなおせっかいで、けど、急に髪触ってくるとか・・・)

心菜、突然「はっ!」とした顔をする。

心菜(いや、あれもお母さん的な行動なのかな。
ボサボサの子どもの髪を直す的な・・・?)

心菜は、昨日、相田に髪を直されたシーンを思い出す。
見上げた、相田の真面目な顔。
心菜、顔が突然赤くなる。

心菜(お母さん・・・お母さんじゃないな。お父さんでもないけど。
上司・・・には違いないけど、上司って、部下の髪を直すものかな・・・。

同性ならあり得るだろうけど。未だかつて、男性上司に髪を直されたことはない。

まあ、そんなシチュエーション自体なかったけれど・・・。
セクハラ?・・・でも、そういう、嫌な感じはしなかったよね・・・)

パンをかじりながら、ぐるぐると脳内会議をしている心菜。
ふいに、はっとテレビの表示を見ると、8:30。
心菜は「うわ!」と焦り出す。 
   
心菜(やばい!もうこんな時間だ~!!)

慌てて、残りのパンとコーヒーを流し込む心菜。
バタバタとした様子で立ち上がる。



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