独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
2章 冷静な彼女の困惑

***
 
 屋上庭園に植えられた名前も知らない植物が、生き生きと葉を伸ばしている。五月の日差しは緑をより鮮やかに見せ、心地いい風は草木とコンビニ弁当のにおいを別のビルへと運んでいく。

「ああーん、ショック。香坂先生、彼女ができたらしいの!」

 おにぎりのフィルムをはがしながら、隣に座っていた長澤さんが泣き出しそうな声で叫んだ。両手で握りしめられたおにぎりは、綺麗にネイルされた指に今にも穴をあけられそうだ。

「どこの誰なのよ。私の香坂先生を……」

「ホダカ・ホールディングスの子らしいですよ」

 向かいのベンチでお弁当の蓋を開けていた小泉雪絵が、メガネの顔を上げて淡々と返す。

「色気のある美人だそうです」

「ホダカって、うちが顧問やってる会社じゃない! 取引先の女が香坂先生に色目を使ったってこと⁉」

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