独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「所長ってば、そのうちドラマとか出ちゃうんじゃないですか?」
わかりやすくしなをつくる長澤さんがさっき『所長は雲の上の人』と言っていたのを思い出していると、「先生」と冷えた声が聞こえた。
「時間です。おしゃべりは後にしてください」
所長の陰から音もなく現れた女性に、どきりと心臓が反応する。おくれ毛一本ないほどぴっちりと髪を結い上げた彼女は、飾り気のないスーツスタイルでメガネの奥の目を鋭く光らせている。
「久世さん、俺は昼食を取る時間はあるのかな?」
「残念ながら。移動中に召し上がってください」
はあっとため息をつくわが事務所のトップを、所長秘書は感情を一切排除した声でエレベーターに促す。