一夜からはじまる恋

湊は自分の車に樹を運び救急病院へ連れて行った。
こういう時、医者だった自分のスキルが役に立つ。
脈が弱く顔色も悪い。でもただの貧血ではなさそうだと感じた湊は救急病院のスタッフにもその旨伝えた。

「突然意識を失いました。ここ数か月で体重が減少しています。顔色も悪くめまいを訴えて倒れました。どこかを痛がるような様子はありませんでした。倒れた時はどこもぶつけていません。」
一声で伝えた湊に医師が「彼女の妊娠の可能性は？」と聞く。
医師の言葉に湊は一瞬動きを止めた。

「あります」
そう答えながら何とも言えない緊張が走った。