一夜からはじまる恋
樹はまた首を横に振る。
「陸の表情を見れば私たちよりも樹ちゃんの方が陸の想いをわかるはずでしょ?」
陸の穏やかな顔を思い出す。すべてを包み込んでくれるような穏やかな顔を。

「樹ちゃん、幸せになっていいのよ?いつまでも息子に縛られてたらだめ。そんなこと陸が望まない。わかるでしょ?」
樹はネックレスを握りしめた。

「その命。大切に大切にしてね。私にとったら初孫ね。」
と陸の母は優しく笑った。
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