今、私はそれを捨てに行く。
エピローグ
 その後彼は一度、彼女と別れた。しかし、しばらく経つとまたよりを戻した。
 
 別れたという報告を聞いた時、どれだけ嬉しかっただろう。よりを戻せて嬉しそうな彼を見ていると、醜い心の中の私が、どんどん荷物を運んできて、私に持たせた。

 _____凄く、重い。






彼に聞いてみたことがある。あの時の私の告白はどうだったのかと。

 「お前の手紙が1番あっさりしていたよ」
 
 お前らしいと思った、と彼は笑いながら言った。私があの時、訳も分からぬまま必死に並べたそれはとてつもなくあっさりしていたものだったらしい。あの時の私の中ではかなり情熱的な内容だったんだけどな、という言葉は心の中に飲み込んだ。彼に自分の気持ちを伝える権利は、私にはないことは分かっていた。

 

 

 今、私は旅に出る。

 重たい荷物を捨て去って、どこへでも行ける人間になる。

 

 _____キミは結構重かったから、持つのが大変だったんだよ。

 


 今までありがとう、さよなら。

 

 

 

 
< 6 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop