人生の楽しみ方

君と買い物

二人で新宿のデパートへ入る。

　「ひな、欲しい化粧品どれ？」

　「んんー、どれでも構わないんだけど…。まずはファンデーションかな。」

　化粧品コーナーを見て回る。ブランドを見てもさっぱりだった。

　「ここのがいいな。」

　君は日本の化粧品メーカーを選ぶ。

　「いらっしゃいませ。何かお探しですか？」

　「ファンデーションを。」

　「宜しければお顔をお作りしますよ？」

　「お願いします。」

　君は振り向いて、申し訳なさそうに言う。

　「ちょっと時間かかるかも。」

　「いいよ、先に会計を済ませて向こうで待ってる。」

　「ありがとう。」

　君の会計を済ませて、奥のアクセサリーコーナーへ向かう。開店したばかりの店内はまだ空いていて、俺はゆっくりとアクセサリーを覗く。

　「ピアスかな…。」

　君への贈り物を選ぶ。君は何でも似合うだろうけれど、俺は真剣だった。

　「贈り物でしたらこちら、如何でしょうか？」

　店員が声をかけて出してきたのはダイヤのシンプルなピアスだった。珍しいスクエアのピアスはとても冷たく光っていて、君を思わせる。

　「これ、プレゼント用に。」

　「かしこまりました。」

　ピアスは少し高かったけれど、君の喜ぶ顔を見たくて。包まれたピアスをそっとジャケットに忍ばせる。店員の笑顔が少し恥ずかしくもあったけれど、俺は何食わぬ顔で君の所へ戻った。
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表紙・目次

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