夢の薬
夢の薬
───お急ぎですか?



いわゆる田舎と呼ばれ、バスも一時間に一本しかない場所だった。そのバスを待ち続けて三時間。未だバスが来る様子もなく、時刻表を何度も確認する。これは本当にひどいんじゃないのか。いくらなんでも、肌寒い空の下に三時間も放って置かれたら暇過ぎて死にそうだ・・・。
時刻は五時を周り、スーツを着ているのに風の通りを感じる。

・・・そんな時、奴が現れた。
お急ぎですかとにっこり微笑んで話し掛けてきた。見るからに怪しい奴、には見えなかったが、突然話をふっかけて来るなんて不信に思う他ない。
「ええ。バスを三時間程待っているのですが、・・・ひどいですねえ。」
「そうですねえ。」
小さなバス停の、小さなベンチに座り、僕と奴は静かに口を開き始めた。ここのバスは遅れるなんてあまりないんですけどね、と奴は言い、待ちぼうけを食らっている僕の苦笑を誘う。
ああ、夜には食事の約束があったのに。どうしよう、この田舎では携帯電話の電波すら飛んでない。
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