夢の薬
自分に対してか、僕に対してか、それとも世界に対してか。
でも僕は何も言い返せない。これは僕だけの問題でもないから・・・と言ったら、逃げになるだろうか。でも、息子に謝る言葉が見つからない。
「・・・今日の夜、母と食事に行くつもりだったのでしょう?」
母・・・?ああそうか、今の僕の恋人か。
「行かないで下さい。いや、別れて下さい。・・・僕を産み落とさないで下さい。」
遠くから、光が見えた。ずいぶんと遅れたバスが、ついにやって来たのだ。
ゆっくりとバス停の前に泊まり、ドアが開く。

「・・・僕を産まない事が、病気を打破する薬です。」


お前が残したもので苦しみたくないんです。
そう息子の目は言っていた。


未来は、どうなっているのだろう。
僕は息子のこんな姿に、泣いて詫びる事も出来なかった。
ただ解っている事は、もう地球も人類もダメだという事だ。だが僕も、他の人間も危機感を覚えたりしないだろう。・・・所詮は、"他人事"。関係なく時間は過ぎてゆくものだからだ。


僕は泣いている息子を横に、バスを虚ろな目で見送った。






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