ひとみ




「あの子、楠木友里ちゃん。部活見学だってさ。」



優花が指差したのは、隼人の腕に絡みついて離れない、かわいこぶった女の子だった。



今日はみんなと話すだけで、あたしは特に話さずに聞いているだけだった。



「隼人くん、友里心配だよ〜。」



うるうるの上目遣いで隼人に迫って、弱い女の子を演じる。



端から見てもばればれなその演技に隼人はニコッと微笑み優しく言った。



「大丈夫だよ、いい人たちばかりだから。」






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