【番外編 完】愛を知らない彼
車を降りると、康介さんは自然に私の手をとって、優しく握ってくれた。
どきどきして楽しむどころではないかと思ったけど、中に入って広がる幻想的な世界に感動して釘付けになってしまった。

「きれい……」

「本当だ」

「あっ、マンボウだ!」

「千花、あそこにカメもいるよ」

「えっ、どこ?」

「ほら、あっちの方」

康介さんさんの目線を辿ろうとそちらを向くと、思いのほか2人の顔が近くて驚いた。
でも、康介さんが優しく微笑みかけてくれるから、なんだか安心感が広がっていく。



「あー楽しかったあ」

水族館内のレストランで向かい合って座った。

「午後からはイルカショーをやってるって」

「本当!?見たいなあ!!」

「じゃあ、食べたら向かおうか」
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