【番外編 完】愛を知らない彼

広がる不安 〜千花〜

康介さんが出張に行って、2日経った水曜日。
時差があるのに、康介さんは私の生活の時間に合わせて電話をしてくれる。
どうしてもかけられない時は、隙間を見つけてメールを送ってくれる。
だから、１人で過ごす寂しさを感じることはほとんどない。
土曜になれば康介さんが帰ってくる。
それまで私は、仕事を頑張って待っていよう。
自分を鼓舞しながら、出勤の準備を進めた。


今日は月に一度の職員会議の日。
子ども達は午前保育で退園する。

「先生方、いつもお疲れ様です。先日の発表会は、どのクラスも本当に素晴らしかったです。先生方も残業続きで申し訳なかったですね。今日は、定時より少し早いですが、手の空いた先生から帰宅してかまわないですよ」

園長先生の労いの言葉で会議は解散し、私もいつもより早めに帰宅した。