幼い私は…美人な姉の彼氏の友達の友達に恋をした
32、両思い

 

(あれ? 今。何時だっけ? …お腹空いたなぁ。うぅーん、あったかい……………うん? あったかい??)


 肌寒くなってきた今日この頃。日中は暖かいが、夜や朝は寒さを感じる。最近はとくに、そう感じていたが今はポカポカあったかい。

 やっと意識が眠りから浮上してきて、目を開いた。

 そして、硬直。見事に固まった。

(あ、あの、これは!! あれだ、要さんの腕!? ってか腕枕とか、理想的なシュチュエーション過ぎて有り得ない!!!)

 背後にいる要に抱きしめられている現実に、小躍りしたくなっていた。

(動きたいが、動きたくないよー!!)

 幸せを噛み締める為、石になる陸に更なる幸せが舞い込む。腕枕にしている右腕ではなく反対側の左腕は、陸のお腹に乗せられている。
 その腕がぎゅっと引き寄せられ、要の裸体にピッタリと密着した。

(やだぁぁー、要さんが可愛いし、神だよぉ)

 起こしたくないが、ここは一か八かの勝負で、ど正面から要の麗しい寝顔を拝見したい。
 気合いをいれ、くるっと向きを変える。いきなり動いた陸に、要の意識も覚醒してしまう。

 だが、見れた。朝が弱い要は、もちろんのこと、寝起きは悪い。

 ゆっくり開いていく瞳に、互いの顔がうつり現実を理解した。驚愕から飛び起きたのは、陸ではなく要だった。


「なっ!!」

 離れていく身体と、暖かさ。なんだか、めちゃくちゃ寂しい。

「うぅー、もうちょっと、くっつきたいです!」

 驚いて上体を起こし裸でベッドに座る要に、同じく真っ裸のまま、抱きついた。

「は? 夢??」

 ガーーーン。この台詞はひどい。


「えぇーひどいです。一回、二回、三回…までは覚えてますが、それ以上にしたのに! あれだけして、忘れたんですか!」

 要に全身で抱きつきながら抗議する陸に、要はやっと思考能力が戻ってきて、失言をかましたと理解する。


「い、いや。こうあまりにも都合がいい展開でだな」

 じとーと見上げてくる陸は、生々しさ満載で、エロスの女神だった。

 視線を下にむければ、真っ白でポワンと柔らかな乳房がこんにちはしていて、胸の頂きはほんのりピンクに色づいているのが、見える。そうバッチリ至近距離で目に入る。

 一箱使い切ったのに、まだ性欲は治らないのか。ふにゃふにゃだったブツに意識が集まり、硬度を持ち勃ちあがっていく。


「……要さん、まだ足りてない? 凄い元気ですね」

 陸と要の身体に挟まれるようにある、立派過ぎる股間部がまた存在を示している。

 呆れた陸の言葉に、要は必死に言い訳をする。


「いや、違う!! これは朝におこる生理現象みたいなもので!!
 やり足らない訳でもないし、満足している。と…しっかり……覚えている」

「そうなんですね、良かったです。夢とかいうから。
 私じゃなくて、違う人とセックスしていた気でいるのかと。
 だって、要さん。あまり、最中は名前を呼んでくれなかったですしっ!」

 ふんっ!!!

 と腕組みしながら顔を横にふる陸に、また笑いが込み上げてくる。呼んでいる、脳内ではすがりつくように。でも恥ずかしいからそこは言わない。


「陸…、抱きしめても?」

「…………ぅん」


 顔は横のままだが、腕は広げられていて『はいっ。抱きしめてください』とばかりだ。

 可愛い抵抗に癒されながら、危なげなく陸を持ち上げ、胡座をかいた上に陸を乗せた。


「…お尻に、あたってます!!」

「生理現象だ、仕方ない」

 念願のピロートークは、早朝5時だった。裸で抱き合ってると暖かい。要の筋肉質な胸板で、柔らかな陸の乳房がつぶれてしまう。
 どちらの心臓の音なのか分からないほど、近くにいる。


「陸、陸、愛している。ずっと、頭がおかしくなるほど。陸を愛している…」

「要さん…」

 満面の笑みで告白されるより、切なげにすがりつくように告白される方が心臓に痛い。母性本能をくすぐられるのだ。

「陸を縛っている自覚があるからな。
 社会に出てからは、陸が思う以上に男女関係なく人との出会いがある。学生の頃とは雲泥の差だ。
 ……俺よりいいと、ん?」


 指先をのせて、要の唇から放たれる台詞を強制的になくした。


「要さん、私、要さんのこと大っ好きですよ!」

「あぁ、ありがとう」

「セックスだって初めてでしたよ」

「そうだな、嬉しかった」

「私の初恋は要さんですよ」

「あぁ。俺もそうだ、俺の初恋も陸だ」

「私は要さんの奥さんですよ」

「そうだな」

「……何が不安ですか?」


 視線を外され、ぎゅうぎゅうに抱きしめられる。おぅ、これはまぁまぁ苦しい。苦しさを伝えるべく、巻きついた腕をペシペシ叩くと、肩口から声が聞こえる。


「…陸はモテるから不安だ。見た目も可愛いし最高なのに、性格までいい。
 優しいから…俺みたいに情で押し切るタイプの男に捕まったら、騙されて、こんなことを…」

 むキィィィィー!!

「もうーーバカな事を言わないで下さい!!
 要さんの贔屓で、だいぶん私が可愛く見えているだ・け。
 いっときますけど、私はめちゃくちゃ普通! 可愛いくて綺麗な人ってのは、姉とか、シャルロットとかを言うんです。全く!!!」

「俺には陸より、いい女なんか知らない」


(うぉぉぉぉーーーーー。過激なピロートーク!! 少女漫画でもないですよ、そんなの!!
 でも、そう要さんが言うなら…)

 本当はそうしたい。でも学生時代が終われば社会人となり、働くのが当たり前。だから陸から言うのは躊躇われたが、一応希望を言ってみる。


「…私、永久就職でもいいですか?」

「えっ?」

 抱きしめていた腕が和らいだ。陸は要から身体を離して、真正面から要の瞳を見て話す。


「大学卒業したら、働かないで。専業主婦になってもいいですか?」

「……いいのか?」

 恐々と放たれる要の言葉。しかし要の瞳は歓喜とよべる色が付いていると、ありありと分かる。


「はいっ!! 家事が一番得意ですからね。というか、逆にいいんですか?と問いますよ。
 今のご時世、専業主婦なんて物凄く少なくなってますし。まるっと私一人分の生活を、要さんが負担するんですよ?」

「もちろんだ!! 負担?全く負担にならないな。マンションでも、飛行機でも、その程度なら買えるくらい貯金はある」

 言い切ってくれるが、マンションも飛行機もお断りだ。要のぶっ飛んだプレゼントに正直引く。


(要さんに物を強請る人の気持ちが分からないなぁ。全ての物より、要さんに価値があるのに…)

 陸は庶民でいい。要と同じになる必要はない。溢れるほどの金など全く欲しくない。陸が欲しいのは要の心と身体だ。

 金への執着がない要に、そしてすぐに高価なものを買おうとする要に、陸は真面目に甘さ無しの台詞を返す。


「最低限の生活費以外はいりませんよ」

「?最低限…。とは…月300万くらいか?」

 ドーーン!!! と岩が頭上から降ってきた気分に陸はなった。

「ふざけないでください!!」

「ふざけてない、怒るな」

「だって、普通じゃない! 月300万もいったい何に使うんですか!?」


 あきらかに陸はイラついている。それは要にも理解出来る。一般家庭の金まわりも知らない訳じゃない。

 しかし陸の出会いという出会いの未来を潰すのだ。いくら出しても、要にとっては構わない。陸が一般企業に就職し、要とは違う初々しい同僚らと喜び悲しみを分かち合う新たな道。

(俺の知らない世界に行かれる方が無理だ)


「…要さん?」

「すまない」

 謝って欲しい訳じゃない。けど、常識を突きつけた陸が悪者決定の有り様だ。

 朝の生理現象という要の股間部の状態。先程とうって変わり、クタン…と寂しそうにシーツに横たわっている。

(うっ、何、さっきと違い過ぎて、可愛い!)

 抱きしめたい感覚になるが、ここでそれを握ると話が終わる。あぁ、でも「よしよし」したいと葛藤する陸をよそに要が口を開く。


「陸の未来を奪うからだ。俺に縛るから、それくらいは…」

(縛ってくださいですけど? 恋は盲目過ぎませんか? まっ、でも嬉しいから!!よしっ!!!)

 気合いを入れて、胡座姿でベッドに座る 真っ裸の要に、真っ裸のまま陸は抱きついた。もちろん、シーツの上で、くたんっとなっているブツを押しつぶさないように避けながら密着した。


「私の欲しいのは、要さんの心と身体! そして、赤ちゃんも!! てんてこ舞いになるくらい楽しい家族を作りましょう!! 仕事なんてしてれません。要さんと私の子供が、たっくさん欲しいですから」

「…陸」

「要さん、お金持ちだし! 10人くらいいけますよね?」

 満面の笑みを浮かべながら、麗しく完璧な形の要の唇に自分の唇を押し当てた。

 互いの唇が開き、さぁてディープキス突入の瞬間。


 グゥーーー〜〜〜キュルキュル……。

 と甘さをかき消す陸の腹音が、静かな室内に響きわたった。

 何がって今が一番恥ずかしい。

「……すまないな。がっついて。夕食無しだったな」

「ぅぅぅ…恥ずかしい」

「腹の音、可愛いぞ」

「自分で言うのもなんですが。要さん、女の趣味悪すぎて残念です」


 眉間にシワを寄せ、物凄く残念そうに見てくる陸に、笑いがこみ上げてくる。微妙な顔の可愛い事といったら、たまらない。

(俺の女の趣味は最高なんだがな。
 陸は自己評価が引く過ぎるが、それは別にいい。陸が素晴らしいのは俺だけが知っていたらいい話。
 幸せ過ぎて恐くなる。陸に会えて、想いを返してもらえて、結婚できて…幸せだ)


 能力、家柄、美貌全てをもつ超ハイスペック要に、今の陸のような変顔をしてくる女はいない。

 だいたいが見栄えは儚げで守ってやりたくなる使用になっており(要は全くそう思わないが)、常に強請ってくる上目遣い。

 虎視眈々と、要の財産と妻の座を奪う為に、チャンスがあれば既成事実を作ろうとしてくる女ばかりだ。

(好きになれるはずがないだろう、そんな女)

 いつまでも陸とはくっついていたいが、陸が空腹は可哀想だ。大事な身体なのだ。


「先に、シャワーを浴びるか」

 苦笑しながら、身体を離す。いったん離れてしまう互いの身体。陸は残念そうな顔をしてくるが、要の股間を見て残念顔が呆れ顔に変化していく。

(あれ?またちょっと硬くなってるよ?)


「要さん、ほんっと、元気ですね…」

 半勃ちになった股間は二人の視線を浴びせられ、ググッとさらに膨張していく。

「…悪い、見て見ぬふりをしてくれ」



 股間は元気だが、ゲンナリしている要に、陸は「ププッ」と笑う。

 そんな陸に破顔し、要は陸の手を取りゆっくりと握ってみせた。
 二人は笑い合いながらベッドをおり、シャワールームに向かう。

 右手は繋ぎながら、左手で顔を軽くおおっている要の姿は眼福ものだが、綺麗な顔が隠れて見れないのが寂しい陸は、繋いだ手をブンブンしながら宣言する。


「要さん! 大好きです!!」

「…陸。…愛している」

 頭上から降ってきた口付けは、過去最高に嬉しかった。



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